巫咸人(ふかんじん)、巫咸(ふかん)は中国に伝わる伝説上の人種である。古代中国では西方に位置する国に棲んでいたとされる。

概説

古代中国の地理書『山海経』の海外西経によると、巫咸国は女子国の南にあり、巫咸人はそれぞれが巫師(ふし)であるといい、右手には青い蛇左手には赤い蛇をにぎっているという。

『山海経』の大荒西経には、巫咸はじめ10の巫師たちが数多くの薬草を求めて登頂する登葆山(とうほうさん)という山についてのことが記されている。

巫咸

巫咸とは、この国で一番のちからを持っている巫師の個人名でもあり、古代中国の殷の時代に活躍した巫師であり帝・太戊の代に勢力を持っていたという。巫咸国は巫咸を頂点に組織された巫師の集団でもある。

巫咸人の登場する作品

『鏡花縁』
巫咸国に父と共に落ちのびて来た娘・姚芷馨が百才女の一人にあてられている。姚芷馨は巫咸人たちに養蚕を教える。

蛇骨婆

日本の妖怪「蛇骨婆」(じゃこつばばあ)が描かれている江戸時代の絵本『今昔百鬼拾遺』(1780年)には、蛇を手に持っているということからの連想で、巫咸についての記述が引用されている。

脚注

参考文献

  • 『山海経 中国古代の神話世界』高馬三良 訳 平凡社ライブラリー ISBN 4582760341 1994年 122、162頁
  • 袁珂 著、鈴木博 訳『中国の神話伝説』上、青土社、1993年 388頁

関連項目

  • 黒歯人 赤と青の蛇を持つということで共通点がある。
  • 蛇骨婆

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